宮城が熱い(2)

”宮城が熱い”の第二弾は栗原市のコロポックルさんです。

白鳥の飛来地として知られる伊豆沼を一望に見渡せる、まさに「日本一眺めのいいジャズ喫茶」。
建物は音響を考慮して天地を高くとった教会のような室内。自然な響きを得るために防音は施していません。オーナーの杉本さんは東京にお住まいだったものの、東京ではジャズ喫茶は不可能とのご判断でこの地での開業をご決断されたとのことです。たしかに予算に糸目をつけないのならともかく都内や東京近郊でここまでの贅沢なつくりは無理でしょう。


店の奥に鎮座するのはJBLのフラッグシップDD66000。同機を使用するジャズ喫茶はいくつかありますが、想像をはるかに超える鮮烈な音。スピーカーの存在を忘れさせる、大音量でありながらいたずらに個性を主張しない音楽に忠実な再生音でした。

杉本さんはあまた居られる自作派のなかでも電子系の自作をされるちょっとめずらしいかた。CDと比べて回転系のないHDDが有利とお考えで(私もその考えは激しく同意)、ダイアナクラールからスタンゲッツまでリッピングした音源をHDDで聞かせてくださいました。たしかにここまで高音質であればハイ
レゾ不要と思わされました。

私がびっくりしたのはそのあと。LPレコードのマイルス”Four”&Moreが生々しい音で鳴り出したわけですよ。時空を超えてとはこのこと。1964年のリンカーンセンターで演奏するマイルス・デイヴィスクインテットが目の前に現れたといっても過言ではありません。しかもレコードはオリジナルや初期盤では
なくCBSソニー盤(品番まで控えていませんが赤レーベルのおそらく80年代初期もの)。プレーヤーはLINNのLP12、カートリッジはShureV15タイプⅢ、アームは(おそらく)SME3009というスタンダードなセレクション(十分に高級品ではあるけど)。しかし、そこで鳴っているのはアナログらしいとされる暖かい(ある意味ダルな)音ではなく妥協を排した冷徹といってもいい音。ノスタルジーを込めて語られがちなチリバチノイズは勿論皆無。正直、私のオーディオへの取り組みを深く反省させる体験となりました。

いやあ、世の中にはすごいひとやすごいものがあるものです。宮城県おそるべし。


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